奨学金を滞納するとどうなる?返済状況によるローン審査への影響とは

日本の代表的な奨学金制度「日本学生支援機構(JASSO)」は、主に経済的理由のある修学困難な学生を育てることを目的として発足された国家的機関です。
利息のない第一種奨学金と、利息のある第二種奨学金があるこちらの奨学金制度は、金銭的事情があるご家庭にとってはありがたい制度だといえます。
しかし近年、奨学金を滞納する人が増加し、一種の社会問題になっているのです。

 また、奨学金滞納によって住宅ローン審査に影響があることはご存知でしょうか?
今回は奨学金を滞納することで、ローンの審査にどのような影響があるのか解説します。

1.奨学金を返済できない人急増中!その理由とは

近年では、大学への入学者が増加傾向にあり、平成30年の文武科学省の調査によると、大学進学率は50%を超えています。現代において「大学卒業」の肩書がないと、新卒で企業に正社員雇用のエントリーにおいて不利になってしまうのです。そのため、奨学金制度を利用して大学に通う人が増えたのですが、卒業後に奨学金を返済できない人が急増しています。
借りたお金を返せず、自己破産する人もいるほどです。

では、なぜ奨学金の延滞者が増えているのでしょうか。
まずは奨学金を返済できない人が増えてしまった理由を見てみましょう。

参考:文部科学省「平成30年度学校基本調査について」

1-1.学費の高騰

奨学金が返済できない理由として、大学の学費が大幅に増加したことが挙げられます。もともと学費が高い私立大学のみならず、比較的安いとされていた国公立大学の学費も一昔前と比べると高騰しているのです。

文部科学省のデータの推移によると昭和50年は授業料が国公立は36,000円、私立大学は182,677円という平均でしたが、現在では国公立は約50万円、私学は約90万円の学費が必要とされています。このように、時代背景が大きく異ってきています。

参考:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」

1-2.雇用状況の悪化

雇用状況が悪化していることも、大学へ入学をしなければならないという意識へつながっています。かつて高卒で就けたような仕事も、現代では大学卒業歴がないと正社員雇用を躊躇される時代です。このような時代背景があるため、親も奨学金を借りてまでも子供を大学に入れようとします。

2.奨学金を滞納するとどうなる?

奨学金の返還金を滞納すると、本人・連帯保証人・保証人に対して、文書と同時に電話による催促が行われることがあります。どのように催促されるのかを、日本学生支援機構の利子付きの「第二種奨学金」を借りているケースを例にして見ていきましょう。

2-1.1回の滞納で通知や催促の電話がくる

奨学金の返済にあたって、振替用口座の残高を確認して、振替日の前営業日までに必要な額を入金しなければなりません。残高不足や諸事情などで1回でも返還できなかった際には、債権回収会社から奨学金を借りた本人宛に振替不能によるお知らせが届き、電話がかかってきます。

1回滞納の場合は、翌月に2ヶ月分の返済金が引き落とされます。

2-2.2回返済が遅れたら延滞金が発生する

2ヶ月連続で返済が遅れてしまったら「延滞金」が発生します。
延滞2回目からは本人のみならず、連帯保証人にまでも滞納に関する通知が送られてしまうので注意が必要です。

2回滞納すると、3ヶ月の返済金と延滞金の合計金額が引き落とされます。

2-3.3ヶ月連続滞納でブラックリスト入り

3ヶ月連続で滞納してしまうと、金融機関の信用情報に響きます。滞納記録が個人情報信用機関により記録され、ブラックリスト入りとなるのです。一度ブラックリストとして登録されてしまうと、クレジットカードなどの審査や車、住宅などのローンを組む際に影響が及びます。

3回滞納すると、4ヶ月分の返済金と延滞金の合計金額が引き落とされます。

2-4.9ヶ月滞納で財産差し押さえの可能性あり

9ヶ月滞納が続いた場合には、裁判所に支払督促が申し立てられ、法的措置が取られます。財産を差し押さえられるうえに、裁判所への訴訟費用も請求されてしまいます。

【返済における優先順位】

1.裁判にかかった訴訟費用

2.奨学金を滞納した分の延滞金

3.奨学金未払い利息

4.奨学金の元本

最初に裁判の訴訟費用に充てられることや長期間分の延滞金が発生していることから、返済しても借りていた奨学金の元本がなかなか減らないという事態に陥ります。

3.奨学金の滞納はローン審査に大きく影響する

奨学金の滞納が進んでしまうと、ローンを組む際の審査に悪影響を及ぼします。
ここでは、具体的にどのような影響があるのかを解説します。

3-1.そもそも奨学金自体が「返済比率」に影響を及ぼす

そもそも奨学金自体が「返済比率」に影響を及ぼします。
基本的に、奨学金は通常のローンと同じ扱いになるのです。

「返済比率」とは別名「返済負担率」と呼び、年収に占める年間返済額の割合のことを指します。

奨学金を借りている場合は、借入金の年間返済額が大きくなるので、返済比率の数字が高くなります。結果的に住宅ローンの審査が不利に働きます。

3-2.滞納すると延滞情報が登録されて審査に通りづらくなる

奨学金は、通常のローンと同様に「借金」という扱いになります。

個人信用情報機関に延滞情報が登録されると「返済能力に問題あり」と判断され、ローン審査に通りづらくなります。

延滞情報が登録される条件がこちらです。

  • 2009年度(平成21年度)以降に奨学金を借りた人
  • 連続して3ヶ月以上延滞したことがある

ただし、延滞情報が登録されたからといって、ローン審査において永久的に不利になるというわけではありません。

4.奨学金が払えないときの対処法

奨学金の返還が難しい場合には、特別な制度を利用することも可能です。ご自身の状況に合った制度を利用することによって、借りていた奨学金を返還しやすくなります。諸事情で奨学金が返せずお困りの方は、奨学金返還相談センターにて返還関係の相談をするのも効果的です。

4-1.減額返還

「減額返還」は、災害や傷病、経済困難、失業などの特別な事情が生じた場合に届け出ができる制度です。一定期間において、当初の割賦金が2分の1または3分の1に減額され、減額返還適用期間に応じた返還期間を延ばすことでより返還しやすいようにできます。

ただし、この制度を利用しても奨学金の返還予定総額が減額されるというわけではありません。また、すでに延滞している場合には減額返還制度を利用できないのでご注意ください。

4-2.返還期限猶予

「返還期限猶予」も上記同様、返還困難な事情が生じた場合に申請可能です。

返還期限猶予制度は、一定期間返還期限を延期する制度であり、返還すべき元金や利息が免除されるものではありません。

  • 就職後間もなく経済的余裕がない
  • 今年に入って昨年よりも収入が減った
  • 扶養家族がいる

このような場合においても、一定の要件を満たせば申請可能です。

4-3.返還免除

特別なケースになりますが、「返還免除」という措置もあります。奨学生だった人が死亡してしまった場合や、精神や身体の障害を受けて返還不可能な状態になった場合に申請することができます。
申請が通れば、残りの返還額の全部、もしくは一部の返還が免除されます。

将来のためにも奨学金を滞納しないようにしよう

将来のためにも奨学金を滞納しない方がよいでしょう。

住宅ローンを組むローン審査において、奨学金の滞納が理由で住宅を購入できないのは悔しいですよね。毎月、数万円の金額をコツコツと返還していくことはとても大変ですが、後回しにせずにきちんと支払いを続けましょう。

まとめ

  • 奨学金の延滞を繰り返すと周りの人にも迷惑がかかる
  • 信用情報に傷がついてしまうと住宅ローンを組む際などの大事な場面に動けない
  • 特別なケースでは奨学金の返還の際の分割金額を変更することが可能
  • 働けない状況になると奨学金の返還免除措置を受けることもできる
  • 返還義務がある奨学金は、危機管理能力を持ってキチンと返済するべき