【購入VS賃貸】住居費はどちらがお得?生涯コストを比較した結果!

住居を購入するか賃貸で住むかは、雑誌やネットの記事などで昔からよく議論されている問題です。

しかし、購入と賃貸のどちらを選ぶべきなのかは、決定的な結論は出ていません。

そこで今回は、購入と賃貸のメリット・デメリットをきちんと理解して、どちらが本当にお得なのかを検証していきましょう。

ぜひ今後のお住まいの参考にお役立てください。

1.持ち家率の割合は61.5%

平成25年度の総務省の調査によれば、持ち家世帯率は「61.5%」です。
総住宅数は6,063万戸で、平成10年から1,000万戸以上増加しています。
この数字を見る限りでは、購入の方が支持されているように感じる人が多いでしょう。

しかし、国土交通省が発表した東京圏の資料では、年齢階級別持ち家率の50歳以上はほとんど変化がないのに比べて、20代〜40代では合計約20%も減少しています。
最近では賃貸を選択する若い世代が増えているということが分かります。

一概に持ち家の方が多いからといって、購入する方が得だとはいえないようです。

※参考元:総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」世帯の持ち家率

※参考元:国土交通省「生活白書」年齢階級別持ち家率の推移

2.購入・賃貸のメリット・デメリット

実は住居を決める際に、損得の視点で「購入・賃貸」の優劣を決めるのは、あまりおすすめできません。

購入も賃貸も期間は異なるにせよ、どちらも「長期間毎月支払いを続けていく」という点においては共通しているからです。

重要なことは両方のメリット・デメリットをしっかりと理解して、その上で自分たちの状況により適切な方を選ぶということです。

2-1.購入の場合

まずは、住居を購入した場合のメリットとデメリットを比較します。

【メリット】

  • 長期で考えれば賃貸より支払い総額が安い
  • 自分の資産になる
  • 自分の好きなようにリフォームや修繕ができる
  • 債務者死亡の場合、支払いをする必要がなくなる(※団信加入の場合に限る)
  • 所有する満足感や将来に対する安心感がある

【デメリット】

  • 多額の初期費用が必要
  • 住宅の劣化や地価下落などで、資産価値がなくなる可能性がある
  • 税金やメンテナンス費用が掛かる
  • 生活環境の変化や近隣トラブルがあっても、簡単に移動できない

やはり1番大きなメリットは、老後に家賃を払う必要がないという、「将来に対する安心感」でしょう。

反対に注意が必要なのは、持ち家が必ずしも資産になるとは限らないことです。条件によっては大きな負担になる可能性があります。

2-1-1.持ち家が資産にならない可能性もある

多くの人が持ち家は自分たちの資産になると考えます。
前述した持ち家率61.5%という数字も、その表れといえるでしょう。

しかし、よく考えてもらいたいのは、ローン完済後(35年後)の不動産に、本当に資産価値が残っているかどうかです。

一般的に日本の住宅の平均寿命は約30年といわれており、アメリカの55年と比べても極端に短いという特徴があります。30年経てば基本的に建物に資産価値は残っていません。

※参考元:国土交通省「生活白書」滅失住宅の平均築後年数の国際比較

「でも建物はともかく土地は資産なのでは?」という声も聞こえてきそうです。
確かに土地の価値は、建物ほどは下がらないでしょう。

しかし、こちらも安易に考えてはならない注意点があります。
それは、人口減少による空き家の増加問題です。

これから無居住化するエリアでは、生活していくための電気・ガス・水道などのインフラ整備がなくなる可能性があります。
そういった地域の不動産価格は、下がっていく場合もあるので、先見の明が必要になるでしょう。

本来資産というのは、利益を含む換金可能な財産のことです。
持ち家は換金可能という面では確かに資産ですが、支払った額に対して残存価値が著しく低くなれば、資産にならないということも十分にあり得ます。
このことは購入する際、頭に入れておくことが大切です。

2-2.賃貸の場合

次に賃貸の場合のメリット・デメリットを比較します。

【メリット】

  • 購入と比べて多額の初期費用がいらない
  • ライフスタイルの変化や近隣トラブル時に、自由に移動できる
  • メンテナンス費用が掛からない

【デメリット】

  • 一生家賃を払い続けなければならない
  • 金銭的に老後への不安がある
  • 基本的に購入よりも支払い総額が高くなる
  • 改築やリフォームなど住居を自由に使うことができない
  • 資産にならない

賃貸の1番のデメリットは、お金を一生払い続けなくてはならないことです。
その代わりに、税金やメンテナンスなどの煩雑なことからは無縁でいられます。

家族構成が変わったり転職したり、近隣トラブルなどで引っ越しをしたい場合も簡単にできるのが賃貸です。

先が読めない時代において、この自由さは何よりも大きなメリットかもしれません。

いずれにしても購入・賃貸共に、それぞれメリット・デメリットがあります。
どちらを選ぶべきかは、個人のライフスタイルにも異なるので、十分に比較検討することが大切です。

3.購入・賃貸の生涯の住居費を比較

購入と賃貸の生涯(※50年で設定)の住居費を比較する前に、まずは住居費という言葉をもう1度明確にしておきましょう。
住居費は簡単にいえば「住居に関する支出全て」のことです。

持ち家であれば、住宅ローン返済や管理費、固定資産税、水道光熱費などが住居費にあたります。賃貸ならば家賃、共益費、水道光熱費などが該当します。

3-1.住宅購入後も支払い続ける費用がある

住宅を購入した場合、住宅ローン返済額以外にも、支払い続けなくてはならない費用が発生します。

固定資産税や都市計画税は毎年支払う必要がありますし、劣化や故障の場合に備えて、メンテナンス費用を確保しておかなくてはなりません。
また、マンションであれば管理費や修繕積立金が必要になります。

3-2.50年間の住居費をシミュレーション

以下の条件で、購入と賃貸の50年間の住居費を試算して比較していきます。

■条件

  • 購入:一般住宅|賃貸:共同マンション
  • 住宅ローン35年
  • 住宅ローン、家賃共に毎月10万円
  • 賃貸では50年間に引越しを5回する条件

このシミュレーションでは、住宅ローン・家賃共に毎月の支払い額を10万円で想定しているので、35年間はどちらも支払い額の差はほとんどありません。

最終的には賃貸の方が【533万円】も多く支払うという結果になりましたが、これはあくまでも1例でしかありません。例えばもっと家賃の安い物件に住めば、賃貸の支払い総額の方が、少なくなる可能性も十分にあり得ます。

このように、その人のライフプランや優先順位によって、結果は全く変わってきます。将来を見据えてしっかりと購入と賃貸を比較して検討することが大切です。

3-3.金額面では「持ち家」がお得!

条件によって結果は変わりますが、支払い総額は購入よりも賃貸の方が多くなるのが一般的です。

持ち家の場合は返済総額よりも、住宅ローン完済後に支払いがほとんど発生しなくなることの方が重要かもしれません。
賃貸の場合は自由なライフプランを立てられる代わりに、一生家賃を支払い続けなくてはならないという不安を抱えることになります。

しかし、もちろん持ち家もメリットだけではありません。
前述したようにローン完済時には、資産価値が著しく減少している可能性もあります。
つまり、金銭的には持ち家が有利でも、一概に購入を選択するのがベストとは限らないということです。

4.購入・賃貸の判断基準の目安

購入か賃貸かを判断をする際に最も考慮しなくてはならないことは、老後の生活についてです。定年で働けなくなった後に、毎月の支払いが可能か不可能かという観点で判断する必要があります。

4-1.老後に備えた預貯金があれば「賃貸」

もし老後に対して十分な預貯金ができるのであれば、自由な賃貸生活を選ぶのもよい選択です。

先ほどのシミュレーションの条件で考えてみましょう。

賃貸では、定年後に家賃の支払いが1,800万円(15年×120万円)掛かります。老後の生活費を年金で賄うのが前提であれば、定年前にこの1,800万円分を貯蓄しておく必要があります。

賃貸であれば生活環境に合わせて自由に移動できるので、住宅費や教育費が負担になっている間は、家賃の低い物件で慎ましく生活し、コツコツと住宅資金を貯めるということも可能です。

4-2.世帯の後継者がいれば「賃貸」

同居する子どもや孫がいる場合も、購入か賃貸かを選ぶ判断基準になります。
もちろん同居人は兄弟や親族でも構いません。とにかく自分たちの世代よりも、若い世代のバックアップを確保できれば問題ないでしょう。

現実問題として高齢になると、賃貸物件が借りづらくなります。
健康面や収入面の不安から、大家さんが貸したがらない場合がほとんどです。

それも若い世代との同居であれば問題がなくなります。
もし同居が難しい場合は、若い世代に連帯保証人になってもらうことで物件を借りやすくなります。

4-3.住宅ローンの完済が定年前に終われば「購入」

定年前に住宅ローンを完済できる場合は、購入を検討するのがおすすめです。
定年前に返済が終わっていれば、老後の不安も減少します。

また住宅ローンがなければ、いろいろな運用が可能になります。
家を売却して小さい住宅に買い替えることもできますし、自分たちは安い賃貸物件を住まいにして、持ち家を貸し出すことで、差額を新たな収入源にすることも可能です。

しかし定年後に住宅ローンが残っている場合は、かなり厳しい状況になるかもしれません。

仮に前述の購入の例で考えてみると、ローン完済が65歳の場合は、60歳の定年時に600万円もの住宅ローンが残ってしまうことになります。
これが70歳なら、残金は10年分1,200万円にも上ります。

残金を退職金で払うから問題ないといった考えは非常に危険です。
なぜなら大事な老後の生活資金が大幅に減ってしまうからです。

総務省統計局の報告によると、無職の高齢者世帯(夫婦2人)の平均収入は、約25万円といわれています。ここから健康保険料や介護保険料などを支払うと、自由に使えるのは約20万円です。

※参考元:総務省統計局 高齢無職世帯

ローン返済分10万円を引いた10万円で、夫婦2人分の食費や医療費、水道光熱費、通信費、交際費などを捻出するのはかなり厳しい状況です。
おそらく年間50〜100万円ほど、貯蓄を切り崩さなくてはならないでしょう。
これではせっかく老後のために持ち家を購入したのに、結局お金の不安に振り回されることになってしまいます。

ですから、住宅を購入するのであれば、定年前に住宅ローンを完済できることが、判断基準の重要な要素の一つになるのです。

住居の選択は老後生活を考えることが重要である

購入・賃貸どちらにもメリットとデメリットがあります。一概にどちらが得ですとは言い切れません。人それぞれの環境や考え方、優先順位によって、適切な選択は変わってきます。

なかでも1番考えなくてはならないのは、安心して老後を送れるかどうかです。

購入の場合は、定年前に住宅ローンを完済できるか否かを考えてみましょう。
賃貸の場合は、定年前にその後の家賃分の貯金ができることが重要です。
それができれば、どちらを選んでも大きな問題は発生しないでしょう。

自分が送りたい老後生活を明確に決めて、そのプランに合う方を選んでください。

まとめ

  • 購入と賃貸のメリット・デメリットを理解することが大切
  • 金銭面では購入の方がお得になることが多い
  • 老後の家賃分の貯金の確保と若い世代のバックアップがあれば、賃貸も十分に検討可能
  • 定年前に住宅ローンが完済できれば購入がおすすめ
  • 老後のライフプランによって住居の選択を決めることが重要