家賃は手取りの3割が目安!給料・年収からみる適切な割合の考え方

生活費における家賃の占める割合は決して少なくありません。継続して毎月支払う費用のため、収入に見合わない高い賃貸住宅に住めば、家計が圧迫されてしまうこともあります。

ゆとりのある豊かな生活を送るためには、自身のライフプランに合った住宅を選ぶことが重要です。自分の収入に対する適正な家賃はいくらなのか、具体的な例を参考にして整理していきましょう。

1.家賃は手取りの3割が目安

「家賃は収入の3割が目安」という言葉を聞いたことがあると思います。私たちはこういった定説を信じてしまいがちですが、実際のところ3割も家賃に支払うと家計をかなり圧迫するはずです。

家賃について考えるには、まずは収入を明確にしておくことが重要です。

1-1.「手取り」と「額面」の違い

会社員や公務員がもらう給料には、「手取り」と「額面」の2種類があります。

大まかにいえば、「額面」とは、“会社から支払われた給料の総額”のことです。しかし、総額全てが私たちの手元に入るわけではありません。“総額から社会保険料や税金などを差し引いた額”が「手取り」となります。

1-1-1.手取り

額面(総支給額)から、社会保険料や税金などの控除額が差し引かれ、実際に銀行に振り込まれる金額が「手取り」です。

社会保険料 税金
健康保険 所得税(国税)
厚生年金保険 住民税(地方税)
介護保険
雇用保険

1-2-2.額面

基本給に残業手当や役職手当、住宅手当などを足した給料の総額を「額面」といいます。給与明細書には「総支給額」と書かれることが一般的です。

家賃を決める際の収入は、額面ではなく手取り(実際の収入)を基準に考えていくことが重要です。

1-2.収入によって目安は変わる

一般的に家賃は手取りの3割が目安といわれていますが、収入によってその割合は変化します。

例えば一人暮らしで月収25万円(手取り20万円)であれば、家賃6万円の物件が上限となります。ワンルーム・1Kの家賃相場を見ると、23区内での物件選びはかなり難しい状況でしょう。

つまり月収が低ければ家賃として30%以上を確保しないと、相場の賃貸物件を選ぶことができません。とはいえ、あまり高い家賃に住んでしまうと、生活費が不足して普段の生活が送れなくなってしまうかもしれません。

反対に月収が50万円(手取り40万円)あれば、15%程度の負担で同等の物件に住むことができますし、もう少し家賃を高くして条件のいい物件を選ぶこともできます。

このように、収入によって家賃の目安は変わってきますので、自分のライフスタイルに合う金額を割り出すことが重要です。

1-3.月額給与「手取り30万」の場合

手取り30万円の社会人一人暮らしを例に、家賃と収入のバランスを見てみましょう。

目安となっている30%で設定すると、家賃は9万円まで使うことができます。
9万円の予算があれば、東京23区内でワンルーム・1Kの物件を見つけることは難しくありません。

生活費に掛かると予想される一般的な内訳を紹介します。

項目 金額
食費 39,000 円
水道光熱費 11,000円
家具・被服 10,000円
医療費 7,000円
交通費・通信費 18,000円
娯楽費 18,000円
交際費 15,000円
その他 35,000円
貯金 57,000円
家賃 90,000円
支出合計 300,000円

こちらの生活費でいくと、貯金(余裕分)が月に6万円弱ほど確保できますので、比較的ゆとりを持った生活プランを組むことが可能です。

適切な家賃の割合の考え方

「家賃は手取りの3割」というのは、収入が上がり続ける高度成長期に言い出されたことです。経済が縮小し長期雇用の崩壊がいわれ出して久しい現代においては、実情にそぐわなくなったといわざるを得ません。

現在は収入の30%ではなく、

収入(月収)×25%

上記以内に収めるのが、新しい定説になりつつあります。
その他にも、家賃の割合を決めるポイントとなる項目を解説します。

2-1.生活費を考慮する

家賃を決める上でまず考えなくてはならないのが、食費や水道光熱費など、毎月必ず支払わなくてはいけない固定費(住居費)です。

さらに趣味にお金を使いたい人や、将来のためにしっかりと貯金をしたい人など、人によってライフプランは異なります。そういったことを考慮して、自分にとって適正な生活費を決める必要があります。

2-2.将来の支払いリスク

現在は時代の変化が速くなり、将来を予測することがとても難しくなりました。いま、家賃の支払いが問題なくできていても、将来的に無理なく払い続けることができるかどうかは誰にも分かりません。

給料やボーナスの減額、リストラや病気などによって収入が一時的に途絶えてしまうことがあるかもしれません。家賃の予算は、支払いが滞るリスクを十分に考慮して設定することが重要です。

2-3.子どもの出費

子どもがおらず夫婦が共働きであれば、経済的にかなり余裕があるでしょう。しかし、子どもができた場合は、一気に支出が増えることになります。

平成21年に内閣府が行った調査では、一般的に1番支出が多くなるのは中学生で、1人当たり年間約150万円が必要と報告されています。

■内閣府平成21年版インターネットによる子育て費用に関する調査
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/zentai/3sho_1.pdf

子どもがもう1人増えれば単純に年間の支出が倍になりますし、成長して子供部屋が必要になれば、新しく広い物件の賃貸契約をしなくてはなりません。

教育費などを考慮するとしっかり貯金をする必要がありますので、家賃は手取りの30%ではなく、25%もしくは20%以内を目安にした方が得策といえます。

3.家賃の目安をケース別に紹介

これまで述べてきたように家賃の目安は、収入や家族構成などによって異なります。ここでは、家族構成によって適正な家賃の目安はどう変わるのか、具体例を挙げながら説明していきます。

3-1.一人暮らし

手取り20万円の場合、家賃が30%(6万円)だとすると、貯金に回せる資金はわずか7千円程度となります。これを25%(5万円)に抑えることができれば、1.7万円ほど貯金できることになり、多少の余裕が出てきます。

200,000円 200,000円
項目 家賃が30%の場合 家賃が25%の場合
食費 39,000円  39,000円
水道光熱費 11,000円 11,000円
家具・被服 10,000円 10,000円
医療費 7,000円 7,000円
交通・通信費 18,000円 18,000円
娯楽費 18,000円 18,000円
交際費 15,000円 15,000円
その他 15,000円 15,000円
貯金 7,000円 17,000円
家賃 60,000円 50,000円

3-2.夫婦

夫婦2人暮らし共働きで、手取り40万円(合算)の場合、家賃が30%(12万円)だと、毎月6万円の貯金が可能です。これを25%(10万円)に抑えれば、8万円ほど貯金できることになり、かなり余裕を持った生活を送ることができます。

ただし、将来子どもを作る予定がある場合は、思い切って家賃を20%(8万円)に節約して、貯金額を増やすのもいい方法です。

支出合計 400,000円 400,000円
項目 家賃が30%の場合 家賃が25%の場合
食費 70,000円 70,000円
水道光熱費 21,000円 21,000円
家具・被服 20,000円 20,000円
医療費 12,000円 12,000円
交通・通信費 30,000円 30,000円
娯楽費 18,000円 18,000円
交際費 20,000円 20,000円
その他 30,000円 30,000円
貯金 59,000円 79,000円
家賃 120,000円 100,000円

3-3.家族

夫婦2人子ども1人で、手取り30万円(妻パート合算)の場合、フルタイムの共働きよりも、全体的に支出を少なくしていく必要があります。

家賃が30%(9万円)だと、貯金に回せる金額はわずか1.2万円となり、ほとんど余裕がありません。これを25%(7.5万円)にすると、3万円弱貯金できることになり、多少の余裕が出てきます。

さらに家賃を20%(6万円)に抑えれば、毎月4万円以上の余裕資金を作り出すことができます。子どもが大きくなり、夫婦2人がフルタイムで働けるようになるまでは、郊外に住むことも視野に入れて、家賃は収入の20%以下を目標にしたいところです。

支出合計 300,000円 300,000円
項目 家賃が30%の場合 家賃が25%の場合
食費 60,000円 60,000円
水道光熱費 21,000円 21,000円
家具・被服 15,000円 15,000円
医療費 15,000円 15,000円
交通・通信費 20,000円 20,000円
娯楽費 12,000円 12,000円
交際費 15,000円 15,000円
教育費 15,000円 15,000円
その他 25,000円 25,000円
貯金 12,000円 27,000円
家賃 90,000円 75,000円

4.年収から購入する物件を計算する方法

これまでは賃貸の目安について説明してきましたが、ここからは住宅を購入する場合について解説していきます。

まず住宅購入の場合は、月収ではなくボーナスやその他の雑収入までを含めた「年収」ベースで考えていく必要があります。

年収からどのくらいの物件を購入できるのか、各金融機関の住宅ローンシミュレーションで大まかな金額を計算することが可能です。

4-1.年収の25%以下が目安

住宅ローンを借りる上で非常に重要なポイントがあります。
それは「借りられる金額」と「返せる金額」をきちんと把握することです。

というのも、金融機関が算出する数字は、あくまでも“借入れが可能な金額”であり、借主が返せる額とは別物です。そのため、限度額いっぱいでローンを組んでしまうと、将来的に返済費用が家計を圧迫することにもなりかねません。

一般的に住宅ローンの上限金額は、返済比率(額面年収に占める年間返済額の割合)によって決められていて、だいたい35%が目安といわれています。

返済比率の計算式
返済比率=1年間の返済額÷年収×100 

例えば年収500万円で年間の返済が125万円であれば、返済比率は25%となります。
基本的に返済比率は25%以下が安全だといわれているため、それを目安に計算してみましょう。

4-2.購入可能額の計算方法

金融機関の住宅ローンシミュレーションを使って実際に計算してみれば、おおよその借入可能額を知ることができます。

【毎月返済額から可能な借入額の目安】
※金利1.5%、35年払い、元利均等返済の場合

ボーナス加算5万円

ボーナス加算10万円

参考元:三井住友銀行 住宅ローンシミュレーショ
https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shinki/sim/


【年収が500万円の返済額の目安】
500万円×25%=125万円
125万円÷12ヶ月=10.4万円

この場合は10.4万円が、安全といえる毎月の返済額となります。

表を見ても分かる通り、毎月10万円の支払いであれば、返済比率25%以下で、約3,500万円の借入が可能となります。

4-3.住宅ローンの金額を決めるときのポイント

住宅ローンの金額を決めるには、いくつかのポイントがあります。
次のポイントを参考にして住宅ローンの金額の目安を立てましょう。

4-3-1.頭金の把握

住宅購入時の頭金とは、住宅ローンの借り入れを行う前に「自己資金で支払える費用」のことです。頭金がなくても住宅ローンを組むことは可能ですが、当然、将来の支払いの負担が大きくなります。

とはいえ楽になるからと貯金を全て頭金に使ってしまえば、後の生活に困ってしまうかもしれません。

最低限必要な金額を残して頭金を設定するか、一般的に推奨されている購入価格の20%程度を用意するか、このどちらかを選択するのが順当といえるでしょう。

4-3-2.返せる金額が基準

限度額いっぱいまでローンを借りてしまい、返済が厳しくなり家計を圧迫するようでは、何のために家を手に入れたのか分かりません。

先ほど、頭金として購入価格の20%程度を用意するという話をしましたが、実際は税金や各種手数料などの費用が約5%は必要になりますので、合わせて25%程度の自己資金を確保しておく必要があります。

無理をせずに返せる金額を借りるのが、住宅ローンで失敗しない大きなポイントです。

4-3-3.借入可能額を確認する

では、実際にどのくらいまで借入可能なのかを年収別にまとめてみます。

参考元:楽天銀行住宅ローンシミュレーション
https://www.rakuten-bank.co.jp/home-loan/simulation/income.html

上記の金額はあくまでも借入可能額です。この金額を基に無理なく返済できる金額を借りるのがよいでしょう。

収入に見合った家賃を設定することが重要

賃貸暮らしをするか、住宅を購入するか、どちらにしても共通していることは、決して無理な家賃の支払いをしないということです。

具体的にどのくらいの家賃が適正なのかを把握することは、知識のない一般の人にとっては簡単ではないかもしれません。そういう時は、FP(ファイナンシャルプランナー)や住宅金融支援機構など専門家の相談サービスを受けてみるのもおすすめです。あなたのライフスタイルに合った適正な支払い計画をアドバイスしてくれるため、家賃の目安を立てやすくなるでしょう。

家賃の支払いが生活を圧迫するようなことは、あってはならないことです。収入に見合った家賃を設定して、無理なくゆとりのある生活を送りましょう。

まとめ

  • 家賃は手取りの30%が目安といわれてきたが、収入によって適正金額は変わる
  • 給料には「手取り」と「額面」があり、家賃は「手取り」が基準となる
  • 賃貸・購入共に、支払額は収入の25%が安全な目安である
  • 住宅ローンを決める時のポイントは、「頭金の把握」「返せる金額」が基準
  • 必要ならば専門家に相談して、無理のない返済計画を立てる