住宅ローンの返済比率の目安とは?計算方法と損をしないための考え方

憧れのマイホームをいよいよ購入しようと思い立ったら、気になるのは資金計画ですよね。住宅は高額な買い物ですので、多くの方は住宅ローンを利用して購入されることと思います。住宅ローンを組むと、住宅ローン減税を受けられるのも嬉しいところです。

ローンを組むときには、毎月の返済額をいくらにするべきか、何年で支払いを終えるように設定するべきか、悩むところですよね。

この記事では、住宅ローンの返済比率の目安、計算方法と損をしないための考え方をご説明します。 

1.返済比率とは

「返済比率」とは、年間の元利等の返済金額が、年収に占める割合をいいます。「返済負担率」とも呼ばれ、ローンを組む際には知っておく必要があります。

1-1. 住宅ローンの返済比率とは

住宅ローンの返済比率は、融資上限額、審査金利と借入額を算出するために、住宅の担保評価額等とともに非常に重要な指標となります。

返済比率によって、「金融機関から融資を受けられる金額=借入上限額(借りられる金額)」が決まります。金融機関としては、長期にわたる融資期間中に滞りなく返済してくれる債務者が理想的です。返済比率が高すぎる場合は返済に不安があるとみなされ、融資を行ってくれません。

また、融資枠満額まで借りてしまうと、返済のために余裕がない生活を送ることになってしまいます。そのため、借入可能額の範囲内かつ無理なく返済可能な「借りてよい金額」で融資を受ける必要があります。

1-1-1.額面年収に対する年間返済額の占める割合

返済比率の定義としては、額面の年収に対する年間返済額の割合となります。
会社員の場合は、扶養控除や税金などの諸控除前の「額面年収(税込み年収)」で計算します。
しかし、自営業などの場合は、事業にかかる経費を差し引いた金額を使って計算しなければなりません。

両者を比べると、返済比率が小さくなりやすい会社員のほうが有利となり、金融機関からの融資は受けやすいといえるでしょう。

1-1-2.手取りに対する返済負担率の関係

額面年収に対する返済割合だけではなく、手取年収に対する返済比率(返済負担率)を確認することも非常に大切です。

日本の税法では「累進課税制度※」が採用されているので、額面と手取りの差の程度は、年収によって異なります。
※累進課税制度:税金をかける前の金額が大きくなるほど税率も高くなる制度

そのため、返済負担率を計算してみなければ、実際の生活への返済のインパクトがわからないのです。

なお、額面と手取りの差が大きい人は、額面に対する返済比率と手取りに対する返済比率の差も、それだけ大きくなります。

例えば、額面800万円・手取600万円の給与所得者が、額面の返済比率を30%で融資を受けたとすると、手取の返済比率は40%になります。生活への影響は大きいですよね。

2.返済比率の計算方法

返済比率の具体的な計算式は、以下の通りです。

返済比率(%)=1年間の元利金等返済額÷年収×100

注意点として、この「1年間の元利金等返済額」には、カードローン、自動車ローン(マイカーローン)など、他の借金返済額も合算して計算しなければいけません。

例えば、1年間の住宅ローン元利金等返済額が240万円、マイカーローンが60万円で、年収が900万円だとしましょう。

【300÷600×100】という計算式から、返済比率は約33%となります。

2-1 ローンシミュレーターが便利

返済比率は、実はインターネット上で簡単に試算することができます。

大手銀行等が提供している計算ソフトである「ローンシミュレーター」を利用して、ご自身で試算してみましょう。

金融機関によって入力する項目は多少違いますが、融資を受けたい金額、返済予定年数、金利などを入力すると、毎月の返済額を試算することができます。

3.返済比率は25%以内が目安

返済比率は、20%以内が理想的で、多くても25%以内に設定するのがよいとされています。

収入のなかでどの程度住宅費にかけるかは、年収別や家族構成、価値観にもよるので一概にはいえません。しかし、不動産を維持していくためには、ローン返済の他にも、保険料、修繕費、固定資産税などさまざまな経費がかかります。

また、お子さんが小さい家庭の場合は、今後教育費もかさむことが予想されますので、無理な設定は禁物です。

魅力的なモデルハウスやマンションギャラリーを見ると、つい予算オーバーしても理想の物件を手に入れたくなってしまいますが、冷静に返済比率を計算したうえで判断しましょう。

3-1.年収900万円の場合

年収900万円の方の場合で、返済負担率の目安となる「20%」として試算してみましょう。

900万円×20%÷12ヶ月=15万円/月

このように、毎月の返済額は「15万」という結果がでました。
ちなみに、返済負担率の目安の上限とされる「25%」の計算では、次のようになります。

900万円×25%÷12ヶ月=18万7500円/月

無理のない住宅ローンの返済を行うためにも、15万~18万7500円に抑えるのが理想といえるでしょう。

しかし、前述したように固定資産税などの税金や管理修繕費、お子さんの教育費などが掛かってくるご家庭は、それを踏まえたうえで、毎月の返済額を検討することが大切です。

3-2.不動産投資における理想の返済比率

住宅ローンだけでなく、不動産投資においても返済比率は重要となってきます。
不動産投資の返済比率は下記の通りです。

不動産投資の返済比率(%)=毎月の返済額÷毎月の家賃収入×100

不動産投資の理想の返済比率は、40%~50%といわれています。
不動産投資は比較的安定した投資方法といわれていますが、空室リスクや金利上昇リスクの可能性もあります。リスクに備えて余裕をもって運用するためには、不動産投資についても返済比率はできる限り抑えましょう。

4.金融機関の返済比率の審査基準

「返済比率が高すぎるとローン審査は通らないのでは…」と不安な方も少なくないはずです。

一般的な金融機関の審査基準は、およそ30~35%程度の返済比率となっています。
ここでは「フラット35」と「民間住宅ローン」における返済比率の審査基準を見ていきましょう。

4-1.フラット35

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提供する住宅ローン「フラット35」。融資可能な返済比率の上限が一律で定められており、年収が400万円の場合は30%以下、400万円以上の場合は35%以下です。

4-2.民間住宅ローン

銀行や信用金庫などの住宅ローン審査では、金融機関ごとに異なる返済比率が設けられています。フラット35の場合と大きく基準が乖離することはありませんが、フラット35よりも細かく年収基準を設定している金融機関も多いようです。
年収レンジによっては、フラット35よりも借り入れしやすい場合も、逆にしにくい場合もあるといえるでしょう。

5.住宅ローンで損をしないための考え方

これまで適切な住宅ローンの返済比率についてご説明してきました。返済比率とともに、住宅ローンで損をしないためには、どのようなことに留意すればよいでしょうか。

5-1.借り入れ金額は年収の5倍程度

大手金融機関では年収の「8倍程度」まで借り入れ可能としているところも多いです。しかし、実際には年収の「5倍程度」が、生活を圧迫せずに無理なく返済していける目安といえます。
住宅購入後数年は「住宅ローン控除制度」によって所得税の一部が還付されたり、子供の児童手当の受給世代に重なったりして、なんとかキャッシュフローが回る場合もあります。しかし、住宅ローンは長期にわたる契約ですので、無理は禁物です。

5-2.早く買って早く返済完了する

利息分等を気にして、頭金がある程度たまるまでは賃貸で我慢しよう、となかなか住宅購入に踏み出せない方もいます。しかし、現代は、住宅ローン金利が1%未満と歴史的な低金利です。この低金利がいつまで続くかは誰も予測ができないので、低金利のうちに住宅を買ってしまったほうがよいとも考えられます。

また、若いうちに住宅ローンを組むと返済年数を長くとれるので、返済比率を無理なく設定しやすいというメリットもあります。なるべく早いうちに買って、定年の65歳までに返済を終えるのが得策といえるでしょう。

住宅ローンという負債を抱えるのが怖いという気持ちはあるかもしれませんが、家賃相当分を住宅ローンに充当することで、不動産という手元に残る資産を手に入れることができます。

6. 借り入れには「返せる額」を求めることが重要

いかがでしたでしょうか?
ローンを組むにあたって返済比率を知ることの重要性をお伝えしました。
ライフプランや家計と照らし合わせて、無理なく理想の住まいを手に入れてくださいね。

まとめ

  • 金融機関から借りられる限度額と、実際に借りてもよい金額は異なる
  • 理想の返済比率は「20%~25%」
  • 金融機関から融資を受けられる返済比率の目安は「30%~35%」
  • 借りてもよい金額は、年収の5倍以内
  • 住宅は早いうちから買って余裕を持って返済完了しよう