【フラット35】知るべきメリット・デメリットや住宅ローンとの違い

住宅ローンを検討するとまず候補に挙がるのが、「フラット35」です。
公的機関がバックアップしているということで、無条件に選んでしまいがちですが、民間金融機関の住宅ローンともきちんと比較していかないと、大きく損をしてしまう可能性があります。

損をしないためにも、この記事ではフラット35のメリットとデメリットや、民間ローンとの違いを詳しく解説していきます。

1.「フラット35」とは

フラット35とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関を窓口として提供している「金利が固定された長期住宅ローン」のプランです。

完済するまで金利がずっと変わらないフラット35の長期ローンプランは、2018年5月時点で、全国332もの民間金融機関で取り扱われています。

実はフラット35は、「買取型」と「保証型」という2つのタイプに分かれていて、通常フラット35というのは「買取型」を指します。それに対して「保証型」は「フラット35(保証型)」と区別されています。

というのも、「買取型」の332機関という数字に対して、「保証型」を取り扱っているのはわずか7機関しかないからです。そのうち新規申し込みできるのは、2018年5月時点で4機関のみとなっています。

必然的に、利用数は「買取型」が圧倒的に多くなります。しかし、「保証型」は選ぶ価値がないのかというと、一概にそうとはいえません。

まずはフラット35の「買取型」と「保証型」について詳しく見ていきましょう。

1-1. フラット35買取型

一般的な「買取型」では、金融機関と借主が契約したローンを住宅金融支援機構が買い取り、そのローンを担保として債券を発行します。債券を売却したお金を金融機関に支払い、以後、借主から毎月返済されるお金から、債券を買ってくれた投資家へ利息を支払うという仕組みです。

「買取型」は住宅金融支援機構が金利も手数料も全て決定しますので、基本的にどこでローンを組んでも大きな違いはありません。ただし、ローン途中での借り換えができませんので、注意が必要です。

融資金額は、住宅建設費および住宅購入費として、100万円〜8,000万円以下で、建設・購入費用の100%※を借りることが可能です。

※申込者の状況によっては100%借りられない場合もあります。

また、担保が必要で、住宅金融支援機構が第1順位の抵当権に設定されます。なお団信保険は、原則として住宅金融支援機構の新機構団体信用生命保険を利用するようになります。

1-2.フラット35保証型

「保証型」は金融機関と借主が住宅ローンを契約します。借主がローンを返済できなくなった場合には、住宅金融支援機構が「保険料」という形で、ローン残高を金融機関に支払うという仕組みです。

つまり住宅金融支援機構は、ローン未払い時の“保証会社”の役割を担うことになります。ローン途中での借り換えができるのも大きな特徴です。
ただし、住宅金融支援機構の役割は“保証会社”でしかなく、ほとんどの裁量権は金融機関にあります。金融機関は競争のために、自由に借入金利や手数料を低く設定できるのです。

取り扱い機関は少ないですが、金利等が低い商品を選べる可能性があります。

融資金額は、住宅建設費および住宅購入費として、100万円〜8,000万円以下で、建設・購入費用の90%※まで借りることが可能です。

※金融機関によって異なりますが、借り換えの場合は100%借入可能な場合もあります。

こちらも担保が必要で、金融機関が第1順位の抵当権に設定されます。団体信用生命保険(以降、団信保険)は、原則として金融機関が提供する団信保険を利用します。住宅金融支援機構の新機構団体信用生命保険は利用できません。

ちなみに団信保険は、万が一借主に不幸があった場合、保険金が住宅ローン返済に適用されるため、以降支払いの必要がなくなります。必ず入っておくべき保険といえるでしょう。

2.「フラット35」と「住宅ローン(民間金融機関)」の違い

最近では民間の住宅ローン(以降、民間ローン)も充実しており、フラット35との差がなくなってきている現状があります。そのため、それぞれの違いをしっかりと理解してから、ローンを選ぶ必要があります。

フラット35と民間ローンを比較した場合、大きく違うのが、金利設定の期間です。フラット35は最長35年の「全期間固定金利のみ」なのに対して、民間ローンは全期間固定金利の他に、一定期間のみ固定金利型、変動金利型と、さまざまなプランを提供しています。

また、フラット35が保証人も保証料も必要なく、借主に対する審査も比較的緩やかなのに対して、民間ローンは原則として保証料が必要です。親子ローンなどでは連帯保証人を求められる場合もあります。長期の住宅ローンは返済不能のリスクが伴いますから、民間ローンは審査基準が比較的厳しい傾向にあります。

さらに、対象となる建物にも違いがあり、フラット35は住宅金融支援機構の審査基準に適合することが条件になります。(適合証明書が必要)
一方民間ローンは独自の住宅ローン審査基準によるため、適合証明書は求められません。

このように、公的機関のバックアップがあるローンと民間金融機関独自のローンでは、性質がかなり違ってきます。次項では利用条件などを比較して、さらに深く違いを探っていきます。

2-1.利用条件

利用目的は、両者とも居住用住宅の建設費もしくは購入費が基本となります。ただし、民間ローンはリフォーム単体もOKなのですが、フラット35はリフォーム単体では融資が認められません。

返済期間はどちらも35年ですが、最低年数が違います。民間ローンが1年という超短期からOKなのに対して、フラット35では最低15年という縛りがあります。

他にも細かい違いはいくつかありますが、重要な違いとして挙げられるのは、「長期固定金利以外の選択肢があること」と「保証料・保証人の有無」です。

主な違いを表にまとめてみます。

【フラット35と住宅ローンの比較一覧】

フラット35

民間金融機関

利用目的

居住用住宅建設・購入

リフォームのみは不可

居住用住宅建設・購入

リフォームもOK

金利タイプ

全期間固定金利

全期間固定金利

一定期間のみ固定金利

変動金利

対象住宅

技術基準に適合した物件

(証明書が必要)

住宅の床面積
一戸建:70 m2

マンション:30 m2以上

各金融機関の担保基準

(証明書は必要なし)

借入可能要件

申し込み時年齢70歳未満

日本国籍、永住許可のある方

申し込み時年齢70歳未満

日本国籍、永住許可のある方

借入額

100万円〜8,000万円以下

100万円〜1億円

借入期間

15年〜35年

1年〜35年

保証人・保証料

なし

保証料必要

場合によって保証人必要

※参考元:「三井住友銀行 住宅ローン詳細

以上、フラット35と民間ローンの主な違いを見てきました。フラット35が借りやすいローンであることには間違いありませんが、民間ローンとの違いをしっかりと理解した上で、ご自身の将来設計に合うものを選択することが重要です。

3.「フラット35」のメリット・デメリット

フラット35は大変人気があるローンですが、メリットだけではなくもちろんデメリットもあります。ここではフラット35のメリットとデメリットをわかりやすく紹介します。

3-1.フラット35のメリット

●住宅ローン金利が変わらないので返済額が明確
借入れ資金(ローン資金)の受け取り実行時に金利が決定し、それが支払い完了まで続きます。同時に支払い総額も確定しますから、ライフプランも立てやすくなります。もし将来、市場金利が上昇したとしても支払いに影響が出ないため安心です。

●保証料・繰上返済手数料0円
フラット35は保証人も不要で、保証料や繰上げ返済手数料もかかりません。また、勤続年数は借入れ条件とされていませんので、自営業者でも申し込み時の審査が緩やかな点も嬉しいポイントです。
ちなみに、通常の都市銀行系住宅ローンでは、借入れ総額の2%程度の保証料が必要となります。(3千万円借入れの場合、60万円)

●適合検査により、高品質な住宅性能が保証される
民間ローンと違い、住宅金融支援機構の適合検査証明書の発行が必須です。つまりフラット35を利用することは「高性能な住宅である」と証明されることになります。
省エネや耐震などの基準をクリアーする場合、さらに金利が安くなる「フラット35S」という商品も用意されています。

●支払いに対する手厚いサポート
万が一借主に不幸があった場合に、保険金が以後の支払いに充当される「新機構団信」に加入できます。さらに「新3大疾病付機構団信」に加入すると、がん・急性心筋梗塞・脳卒中で重篤な状態になった場合も、支払いをする必要がなくなります。
怪我などで一時的に収入が途絶えた場合でも、その間減額してもらえるなど、支払いに対するサポートが充実していて安心です。

3-2.フラット35のデメリット

●住宅ローン金利が高めで固定されている
フラット35は金利が固定されるため安心して利用できますが、反面、仮に市場金利が下がった場合は損をしてしまいます。さらに、一般的に「変動金利」よりも金利が高いのもデメリットといえます。

●住宅に対する利用条件が厳しい
適合検査で高性能な住宅だと証明されるというのは、見方を変えれば「審査基準が厳しい」ということになります。建築条件もあり、一戸建ては70m2以上、マンションは30m2以上の床面積がないと認可されません。全ての住宅において利用できない上に、必要書類など手続きの手間やそれに付随する費用が発生することもデメリットのひとつです。

●繰上返済の最低金額が高い
フラット35は繰上げ返済に手数料がかからないものの、ネット支払いで最低10万円以上、窓口支払いでは100万円以上からでないと繰上げ返済できません。民間ローンは最低で1円以上からできる場合もありますし、ネットバンクでも1万円以上でOKという基準に比べると、かなりシビアだといえます。

その他に知っておきたいこととして、今までは新機構団信の保険料が最低でも100万円以上かかっていましたが、平成29年10月より、民間ローンのように「月々の返済金に、団信加入に必要な費用が含まれる」というスタイルでの支払いに変更となり、デメリットとはいえなくなりました。

今まで見てきたメリットとデメリットを踏まえた上で、フラット35へ借り換えした場合、どのような効果が生まれるのか次項で検証していきましょう。

4.「フラット35」への借り換えについて

今までは主に新規で借入れする場合について見てきましたが、実は借り換えのニーズも少なくありません。ほとんどの人が初めて住宅を建てるわけですから、あまり知識がない状態で、すすめられるままにローンを組んでしまって、後からローン返済額に不満が出て借り換えるケースも多いのです。

借り換えによって返済額を減らしたり、変動金利を固定金利にして将来の金利変動に対する安心を手にすることも可能です。

現在はインターネットで簡単に、ローンを借り換えた場合の支払いシミュレーションしながら研究することが重要です。

4-1.フラット35の借り換え条件

フラット35に借り換えをする場合、いくつかの要件を満たす必要があります。

  • 申し込み時の年齢が満70歳未満
  • 借入期間は15年以上
  • 年収における返済額の割合が年収400万円未満30%、400万円以上35%以下
  • 借入金額が100万円以上、8,000万円以下
  • 床面積が、一戸建て:70 m2以上、マンション:30 m2以上
  • 住宅金融支援機構が定める基準を満たしている必要あり

※参考元:「住宅金融支援機構 フラット35 借換融資のご利用条件

主な条件を挙げましたが、条件を満たしていない場合は、借り換えができませんので、事前によく確認する必要があります。

4-2.フラット35借り換えのメリット

●長期固定金利の安心感が手に入る
ローン支払い中の35年もの長期間には、必ず金利の変動があります。子供の進学時など1番お金がかかる時期に金利が上昇すれば、負担が大きくなってしまいます。フラット35への借り換えによって、そういった不安から解放されます。

●返済総額を減らすことができる場合がある
日本では現在低金利が続いていて民間ローンの金利が非常に低いですから、現時点ではフラット35へ借り換えをしても、残念ながら返済総額は減りません。
ただし、10年以上前に2.5%などの高金利でフラット35を借りている場合は、今現在の金利で再びフラット35に借り換えすることで、かなり支払い額を下げることができます。

【フラット35からフラット35への借り換えシミュレーション】
・借り換え前:金利2.5%、ローン残金1,500万円、借入期間25年、元利均等
・借り換え後:金利1.41%、借入金額1,500万円、借入期間25年、元利均等

現在の借入れ

借換え後

差し引き金額

支払い総額

20,187,618円

17,807,298 円

-2,380,320円

毎月の支払い額

67,292円

59,358円

-7,934円

※参考元:「住宅金融支援機構 借換えシミュレーション

-2,380,320円もの削減が可能に!

借り換えするだけで何百万円も支払い額が変わってくるわけですから、メリットをきちんと理解して、上手に賢く借り換えをしていきましょう。

4-3.フラット35借り換えのデメリット

●固定金利でも民間ローンよりも高くなる場合がある
マイナス金利政策で、フラット35以外の民間銀行の固定金利ローンの金利が大きく下がっています。借り換え20年の条件下で比べてみると、ARUHI住宅ローンや住信SBIネット銀行など、フラット35より金利が低い銀行もいくつかみられます。

●借り換えの費用がかかる上に手続きが煩雑
融資手数料を2%とすると、仮に1,500万円借りた場合、30万円にもなってしまいます。さらに手続きに結構時間が取られてしまいますから、仕事が忙しい人にとっては少々面倒です。

※参考元:「住信SBIネット銀行 手数料・諸費用

やはり、今現在利用している住宅ローンと、借り換えの候補である住宅ローンを、多方面からしっかりと比較検討する必要があります。

フラット35が自分の返済計画に合っているか検討しよう

今現在、市場は稀に見る低金利です。短期で考えれば民間ローンの方が得かもしれません。しかし、ほんの10年前には金利が現在の2倍以上だったことを考えると、いつまた金利が上昇するか誰にもわからないのです。

フラット35の1番大きなメリットは、そういった長期的な不確定要素を手放し、大きな安心を手に入れられるところにあります。

今まで住宅ローンに抵抗があった人も、フラット35を上手に選択して活用していけば、無理なく自分の家を手に入れることができるかもしれません。

自分にとってフラット35が合っているのか、民間ローンの方がいいのか、しっかりと研究してみてください。

まとめ

  • フラット35には「買取型」と「保証型」があるが、主流は「買取型」
  • フラット35は最長35年全期間固定金利のみで、民間ローンは変動金利も扱う
  • フラット35は保証人・保証料が不要
  • フラット35は固定金利なので、市場金利が低くなれば損をする
  • フラット35に借り換えで、返済総額を減らすことができる場合がある
  • フラット35は、長期固定金利による安心が1番のメリット